マルぴょんござる!

マルぴょん それは日本古来より伝わる伝統の味…

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2010-01-29 [ Fri ]
-古都ブルネンシュティグ クリムスン商店-


ギル戦後の集会が終わり、閑散とした店内で私は一人品物をみていた。

特に目を引く物もなく、店の正面に並べられている小物を軽く一瞥しながら外に出た。

陽の当らない店内とは違い外は明るく太陽はさんさんとしていた。

私は眩しさに少し目を細めた。




表通りではヒマそうなドロシーがケイルンと話をしている。

店内を振り返ると店の裏手口へ通じる狭い通路ではまだギルドマスターと新入りの問題児が話をしている。

彼を待って5~6分たつのだがまだ終わりそうもない。

ただ待つのもつまらない、おしゃべりでもしながら待つとしようか。

そう思い彼女らの方向へ歩き出した矢先、私の後ろから雷鳴のような怒鳴り声が聞こえてきた。

マスターの怒鳴り声だった。

「なんで命令が聞けないんだ!どうして自分の部隊メンバーのもとを離れた!?貴様の仕事は自分の所属する部隊メンバーの後方支援だろうが!」

「・・・・・・・」

「勝ったとはいえ負けたらどうやって責任を取るつもりだったんだ!」

彼はマスターの怒号にもマユ一つ動かさず、壁に寄りかかり腕を組みながらうつむいているだけだった。

マスターの太い腕と握り締められた拳が震えている。

「黙っていては話がすすまん!いいかげん何とか言ったらどうなんだ!」

それでも彼は何も言わない。

業を煮やしたマスターは近くにあった椅子を蹴り飛ばし、立てかけておいた自分の斧を持つと私の方へと歩いてきた。

「明後日のギルド戦でもその態度が直らないようならば追放もありえる・・・、そう伝えておけ!」

まるで私の罪をとがめるかのようにすれ違いざまにそういい残すと、返事も待たずにマスターは店を後にした。

私は軽く胸をなでおろした。

嵐の去った店内は静まり返り耳鳴りすら聞こえる。

カウンターでそろばんをいじりながら記帳しているクリムスンと目が合ったが、彼は何もいわなかった。

もうこういった出来事には慣れっこだった。

「何してるの?」

ふと視線を移すと私のすぐ隣に新入りが立っていた。彼は右手に持った長い杖を肩にかけながらそう言った。

私は言った。

「君を待ってたんだ、ここではなんだから少し場所を変えようか。」

「・・ああ、いいよ。」

彼は店の表に出ると外の明るさに一瞬眉をしかめていた。

私たちは水路沿いを歩き古都を南へと出た。





-ギルディル川 ナス橋付近-


新入りの彼は、私の隣で欄干に肘をのせ左手で頬杖をつきながら、拾ったいくつかの小石を水面めがけ指ではじいて遊んでいた。

私は欄干の鉄格子に背をもたれ、向かい側の格子の間から見える水面を眺めていた。

穏やかな水面は昼下がりの暖かい太陽の日をうけ、眩しい光を反射していた。

私は煙草に火をつけ軽く息を吐き、煙の行方を目で追った。

彼は言った。

「話ってなに?」

「また同じ質問をするみたいだが、なぜ命令に違反するような真似をしたのかと思ってさ。」

彼は手に残っていた小石を全て橋の下へ落とした。小石が水面を叩く音が聞こえた。

彼は私と同じように欄干に背をもたれ、立てかけていた長い杖を手に取ると杖の柄で靴のつま先を軽く叩いた。

「なんでって・・・」

私は続けた。

「マスターが言っていたよ、このままじゃ追放もありえるって。せっかくこのギルドに入ったんだ、できることなら仲良くやっていきたいと誰もが思っている。君だってそうだろう。」

「・・・・・」

彼はまた黙っていた。

私は背を起こし向きを変えると橋の下を見た。橋の下ではスッポンの親子が三匹戯れている。親の背中に乗ろうとした子のスッポンが足を滑らせてなかなか背に乗れずにいた。そのとなりで水面に映る男がタバコを吸いながら私をみている。

その時ふと新入りの彼が口を開いた。

「・・・俺とは違う部隊に所属していた赤髪のランサーいるだろ。」

「ああ、君と同期に入ってきた彼女か。彼女がどうかしたのか?」

彼は少し間を置くと軽く息を吸ってからこちらを見ずに言った。


「今日、彼女が敵に囲まれていたんだ。あのまま放っていたら確実にやられていた。彼女がやられるのは負けるよりも嫌な事なんだ。」

彼はそう言い切ると鼻で溜め息をつき、安堵した表情を見せ私を一瞥し軽く笑って見せた。

その時私は彼の笑顔を初めて見た。


私は言った。

「そうか。」

彼は言った。

「そうだ。」


私は吸いかけの煙草を川に投げた。ジュッと音がした。緩やかな流れの水面に波紋が広がった。

それに気がついたスッポンの親子が不思議そうに私を見上げていた。

「言うべきことは言ったぜ。俺は古都へ戻るよ。」

彼はそういうとナス橋を後にした。

私は二本目の煙草に火をつけた。

時折吹く優しい風が私の頬をなで木の葉をざわめかせた。

舞い散る木の葉の色づきが秋の訪れを告げていた。

私は彼の姿が見えなくなるまでその後姿を眺めていた。







            -fin-


                    作成日 2006/10/24(火)










もう4年近くも前に作ったものだけど、お返事もらえた時はうれしかったなぁ



今更だけどありがとね!サマナの人さん。





サマナの人さん

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マルぴょん

Author:マルぴょん
■プロフィール■
主の教えこそが世界を平和に導くと信じて疑わない「マルぴょん教」の教祖にして、悪の組織ショッカーの戦闘員であるとも言われる伝説の漢である…

■所属ギルド■
エンジョイプレイRS

■ギルドにおける職位■
客員提督(ゲストアドミラル, Guest Admiral)
近年においては一般ギルド員とも言う。

■ご職業■
ウィザード

■レベル■
推定690億
(東京ドーム7個分のビタミンC)

■好きな物■
ぬくもり(あなたの)

■得意な料理■
チャーハン
ペペロンチーノ
卵納豆

■趣味■
頭突き
墓参り
回転寿司

■好きな役■
リーチ
タンヤオ
ホンイツ

■好きな待ち■
ペンチーピン

■好きな体位■
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が食べたい

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