マルぴょんござる!

マルぴょん それは日本古来より伝わる伝統の味…

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2010-04-17 [ Sat ]

砂漠は人の心に似ている。
荒れ果てていて何もない。


あるのは荒れ果てた地肌に
潤いを欲す灼熱の情欲。


砂漠の全てを潤すほどの雨が降ったとして
彼はそれに至福を見出すのだろうか。





一瞬の快楽の後に訪れる砂漠の夜の冷涼とした虚無感は
やがて心を惑わす蜃気楼へと変わる。



蜃気楼。



それは砂漠の欲望が描き出す、一瞬の夢なのかもしれない。






















-ギルドホール 会議室-


開け放たれた部屋のドアにもたれかかりながら、デスクで書類に目を通しているギルドマスターを眺めていたが、しばらくそうしていても彼は私が来たことに気が付かなかったようだ。

私は右手で軽くドアを叩いた。


マスターは無骨な面構えに似合わないメガネの隙間から、上目遣いにこちらを一瞥すると

「どうした」

と言った。


彼は書類をデスクの上に放り投げ深く椅子にもたれると、メガネをはずし眉間を押さえた。

「書類を相手にするのだけはニガテだ。こればかりはいくら歳を重ねても慣れんな」

「とても楽しそうにみえる」

「目が腐っているのか。何しにきたんだ。邪魔しにきたのなら出ていきやがれ」

「通りすがったら、珍しく書類になんか目を通してるものだからね。何を見ていたのか気になったんだ。」

「見てみろ」

マスターはあごで書類を指した。

私はマスターのデスクに腰掛けるとそれを手にとって目を通した。

ギルド倉庫の物資に関する資料だった。

「…ん、刃油が足りないな」

「そうなんだ。物資の調達をしなければならん。今週末のギルド戦までにな」

「手の空いている者はいたかな。アリアンの刃油を仕入れるとなると、今日にでも古都を発たないと間に合わないぞ」

私はカレンダーを見た。

マスターは机の上に両肘を立て手を組み、その上にあごを乗せながら言った。

「一人暇そうなのがいるな」

「新入りのことか」

「違う」

「誰だい」

「普段たいした仕事もしないくせに、仕事が舞い込むと自分より暇なやつを必死になって探しだすろくでなしのことだ」

私は辺りを見回してみたが当然誰もいなかった。

「・・・はっ!こんなとこ来るんじゃなかった」

私は吐き捨てるように言った。

「そう言うな」

マスターはデスクの引き出しから小さな封筒を取り出すとそれを投げてよこした。

「仕入れてくる量は任せる。旅費はその中から出してくれ」

中を見ると1万ゴールド紙幣が50枚入っていた。

「これだけあれば豪遊できるな」

「ギルドメンバーから袋叩きにあう覚悟があるのならそうしろ」

「冗談だ。それじゃ行ってくる」

「気をつけてな」

「ああ」

部屋のドアのところまで歩いてから私は立ち止まり、振り返って言った

「それにしてもマスター」

「なんだ」

「眼鏡が本当に似合わないな」

「知っている」

私は軽く手を振りその場を後にした。





























『砂嵐の迷宮』







































-西プラトン街道 / グレートフォレスト入口-


永久に続くかのように思われる砂丘の連続。

まるで私を狙い打つかのように降り注ぐ太陽からの熱線。

無音で、無言で、無情な灼熱の砂漠は、この世のありとあらゆるものより冷酷だといえる。

この熱線にこそあぶりだすという形容がふさわしいものはない。

彼は隠すことを我々に許さない。

私のすぐ足元に転がる生き物だった何かの白骨のように。



振り返ると先ほどまで生い茂っていたグレートフォレストの木々が遥か昔の思い出のように思える。

目の前に広がるのはただ砂漠。



アリアンまで先は長い。



何かを考えるのにすら疲れ始めたころ、大きな岩山が目に入った。

あそこまで歩いたら日陰で休むとしよう。




日陰側の岩肌はひんやりとしていてもたれかかると心地よかった。この裏側の日のあたる岩肌は肉が焼けそうなほど熱いであろうことを想像するとぞっとした。

私はその岩肌にもたれかかり体を休めた。

頬を伝う汗が唇に触れ私はそれを舐めた。

ふと、自分が水滴になってこの涼しげな岩肌をつたう想像が頭をよぎった。

それは想像というよりよくよく考えてみると夢だったのかもしれない。

気が付くと私は眠りについていた。









あれからどのくらいの時間がたったのだろう。

何者かの気配を感じた私は目を開いた。

その瞬間私はこんな場所で居眠りをしたことを後悔したが、いつまでもそうしてはいられなかった。

十数匹のラットシーフが私を取り囲んでいた。

彼らは私が目覚めたことを知るとその輪を狭めていった。

間違いなく距離を測っている。目の色がご馳走を見る目だった。

私が立ち上がりざま杖に手をかけると同時、彼らは私めがけ飛び掛ってきた。



その刹那だった。



私に飛び掛かるはずだったラットシーフが勢いよく岩肌へと張り付いた。

一本の矢がその体を貫いていた。


私が振り返るとそこにはラクダにまたがる黒いチャドルを身にまとった女がいた。チャドルを身にまとっているのもかかわらず女と知れたのは、肢体を包むチャドルの布地の合間から長く美しい白髪が見えたから。


間髪あけずに二の矢を放つ彼女に私はファイヤーエンチャントを唱えると、彼女の放つ矢に炎が灯り、矢がラットシーフに突き刺さるとその体を燃やし尽くした。


杖を構え次に備えたが、私の出る幕はなかった。


彼女の放つ雨のような矢に、一瞬にして半数以上の仲間を失った彼らは戦意を喪失し逃げ出したが、それすらかなわずに果てた。


私は胸をなでおろすと一息ついて彼女のほうを見た。

彼女は弓を背に掛けると私を見下ろした。

「いくら疲れているからといって砂漠の岩陰で熟睡するのは考え物ね。そこはあなただけのハンモックじゃないのよ」

「迂闊だった。気をつける」

「そうしてもらいたいものね。」

彼女はそういうと地平線の彼方へと視線をやった。

私もそちらに目をやった。だが何もなかった。あるのは青い空と白い雲、焼けた砂漠の地肌、地平線、そして陽炎・・・。

彼女は言った。

「ここ数日のうちに砂嵐がきそうよ。どこに行くのか知らないけど早めに行動したほうがいいわね」

私は彼女を一瞥した後にまた視線を地平線へとやった。目を凝らしたが何も分からなかった。

「砂漠に長く住んでいるものでなければきっと分からないわ」

「そうか」

「どこへ行く途中なの?」

「アリアンへ行くところだ。今夜はリンケンで宿をとろうと思っている」

「そう」

彼女は一瞬何かを考えているように見えた。

「なんだい?」

「いいえ、なんでもないわ。道中気をつけることね」

「そのつもりだ。助かったよ、ありがとう」

彼女はラクダの手綱を引くと去っていった。



先を急ごう。

私はそう思うとロングコートについた砂を払い歩き始めた。



彼女が先ほど見ていた空をもう一度みたが、やはり普段の空と何も変わっていないように見えた。




砂肌に伸びる私の影が身長よりも長くなりだした頃、視界の果てに物陰が映り始めた。

蜃気楼でなければリンケンの家々であろう。



日が暮れる前に宿を取れそうだ。


















-砂漠村リンケン-


私の腰の高さほどの少年たちが数人、私の横を走りぬけた。

遊びつかれお腹をすかせた子供たちが騒ぎながら家路につき、立ち並ぶ家々の煙突からは夕飯の支度をしているのか煙が上がっている。

近くのオアシスには豊富に水があり人日の生活を支えている。

のどかで静かな村だった。






彼方の砂丘を振り返ると日が半分だけ沈んでいる。

私は明日もまた飽きもせずに顔を見せるであろう太陽に呆れ顔をして見せると、重くなった足に鞭をいれ宿にむかった。



宿に入り、カウンターに肘をおき呼び鈴を鳴らすと、店の奥から店長の男が出てきた。砂漠に合わせたような禿げ上がった頭に少々太り気味の中年の男。私は彼を知っていた。

「おう、いらっしゃい」

「一晩宿を取りたいんだ。いい部屋はあいてるかい」

「南東の部屋ならいつでも空いてる。どうだね?」

「勘弁してくれ」

「冗談だよ」

店長はそういうと2階の北側に位置する部屋の鍵を渡してくれた。

「おうアレックス。アリアンにいくのか?」

「そうだ、週末のギルド戦のための物資を調達しなければならなくてね。いつもの事さ」

「だろうと思った。だがちょっと今はやめておいたほうがいい」

「アリアンで何かあったのか?」

「まずは部屋に行こうか、向こうで話そう」





私たちは薄暗い階段を2階へと上がると、廊下を左へまがり一番端の部屋に入った。

その部屋に入ったとき一番初めに目に付いたのは、開け放たれた窓から見える砂漠の夕方の風景だった。ちょうど隠れきった夕日の残り陽が砂丘の輪郭を燃やしている。

開け放たれた窓の白いカーテンが優しくはためいている。ベッドの白いシーツはいかにも涼しげだった。

良い部屋だ。



店長はそのまま窓辺までいくとカーテンが風に流されないように、端によせ小さな布で巻きつけた。そして西の方角を眺めながら言った。

「クロマティガードがアリアン東部地域を中心に捜索網を展開している」

「アリアンで何かあったのか?」

そう言いながら、この台詞を言うのは2度目だな、と私は思った。

「大富豪の家に強盗が押し入ってね。それがまたトゥーファの家だっていうのさ」

「アリアン一の金持ちか。なかなか泥棒さんもお目が高い」

「狙うだけなら誰でもできるさ。だが彼はクロマティガードの元締めでもある。彼を敵に回すということはクロマティガードを敵に回すということに等しいんだ。それでも生きて逃げ切れる自身はあるかい?」

「考えたくもない」

「だろう。誰だってそう思うはずなんだ。だが今回の犯人達は見事屋敷に侵入、逃げおおせてしまった。見事というほか無いね。クロマティガードの奴ら、かなり殺気立ってるって話だ、白でも黒と言いかねない勢いだと聞いた」

「で、アリアン東部地域に捜索網を展開しているという事は、犯人達は東へ向かって逃走しているということか。」

「そうらしい。いずれはリンケンもその網の中にはいるというわけだが、そうしたらお前さんアリアンへはしばらく行けないかもしれないぞ。今なら南へ馬車を出して捜査網を迂回するって手もある」

「いや、いいよ。急いでいないことはないが多少時間はある。2日ぐらい泊まっていくよ。下手に動いたら怪しまれかねない」

「そうか、ならいいんだ。俺のところも儲かるからな。強盗様様だ。」

店長は快活に腹を揺らして笑った。






それからしばらくして、部屋で休んでいた私のところへ店長が来ると、夕食はまだ少し時間がかかりそうだと言った。
私はわかったと返事をすると少しだけリンケンの村を歩いてみたくなった。

日が沈み、のどの渇きも落ち着いた今ならゆっくり村を眺められると思ったからだ。

私は店長に夕食までには戻ると告げ宿を出た。




地平線のかなたからはもう陽は届いていない。

ただ西の空が燃えているだけだった。

雲は様々な形をし、太陽の断末魔に身を焦がし、そして誰のためにでもなく空を彩った。

それは美しかった。

しかしその美しさは何のためにあるのだろう。

美しいものとはその美しさを評価する存在がいて初めて意味があるように思われる。

我々人間がその美しさを評価する以前から存在するそれは誰に向けての美しさなのだろう。



誰のためでもなく、何の意味もなく、誰に評価をされるわけでもなく、そして何ももたらすわけでもないその自然の営みは、なぜ行われ続けなければならないのだろうか。

世界がその日の終わりに垣間見せる単なる気まぐれなのだろうか。



いや、違う。あの夕焼けは自分自身への伝言なのだ。

今日が死にそして闇が支配する夜が訪れる事への。


ともすると、あの空に見えるやや白い交差した雲は、まさに十字架をかたどっているのではないかと思われた。
そして太陽は、やがて来る明日のために沈むのだ。今その光が届かなくなった世界に、今日の死をまざまざと見せつけながら。


私は無理やりそうこじつけた。

自然に意味が無い?そんな事はない、自然のすべてには意味がある。

今この瞬間を生きるものにはすべからく理由があり意味がなければならないのだ。

自然の延長線上にいる我々人間の存在が無意味に思えてしまわないためにも。








私はそのまま村を南へ進んだ。


オアシスの水汲み場は、明日の朝つかう水を汲む村人たちが数名いたが、それももう最後のようで掃除をしながら辺りを片付けていた。

湖面を眺めると焼けるような夕焼け雲のその間に輝く星が映っていた。

私は湖に沿って歩き出した。

一周して宿へ戻ろうと思った。






湖をはさんで村の反対側まで来た。足を止め反対岸を眺めてみると、どの家も灯をともし煙突から煙を立ち上らせている。

視線を下げると湖面に映る逆さまの村、そして輝きだした星々。

私は近くにあった木にもたれかかるとタバコを吸いながら湖面を見つめていた。

この湖面の向こうには、この世と同じようにもうひとつの世界があり、そこでは私たちと同じように人々が生活し、そしてまた同じように時たま湖面を覗き込みこちらの世界の様子を伺っているのではないか、幼い頃そう思ったことがある。

だがそんな思いも、水面に映る自分の顔に手を伸ばしたとき、広がる波紋とともに消えていったものだった。


私は歩き出すと湖の水面を見下ろし、その場にしゃがんだ。

深く暗い色の湖におぼろげに浮かぶ星たち。そして湖面に映る私。

子供の頃そうしたように、私はそっと手を伸ばした。



その時、私が触れるより早く水面が揺れた。



波紋というには少々強く、波というには弱々しい水の戯れ。

それは私の前方から足元の岸まで来て軽くはぜると、後ろから次々と押し寄せる微弱な波たちと衝突を繰り返し消えていった。

何かが水を揺らしたのだ。

私は顔を上げた。























そこには一糸もまとわぬ姿で私を見つめる褐色の肌の女が立っていた。




その長く美しい白髪をしっとりと水に濡らして。




             続く
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マルぴょん

Author:マルぴょん
■プロフィール■
主の教えこそが世界を平和に導くと信じて疑わない「マルぴょん教」の教祖にして、悪の組織ショッカーの戦闘員であるとも言われる伝説の漢である…

■所属ギルド■
エンジョイプレイRS

■ギルドにおける職位■
客員提督(ゲストアドミラル, Guest Admiral)
近年においては一般ギルド員とも言う。

■ご職業■
ウィザード

■レベル■
推定690億
(東京ドーム7個分のビタミンC)

■好きな物■
ぬくもり(あなたの)

■得意な料理■
チャーハン
ペペロンチーノ
卵納豆

■趣味■
頭突き
墓参り
回転寿司

■好きな役■
リーチ
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■好きな待ち■
ペンチーピン

■好きな体位■
ひみつ

■熱いラーメン■
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